倒産した消費者金融・クレジットカード会社の過払い金請求はどうするべきか

過払い金請求はお金を借りている(もしくは過去に借りていた)方が、債権者である(もしくは債権者であった)消費者金融やクレジットカード会社などの貸金業者に対してするものです。
しかし、法律が改正され過払い金というものが世間に知られるようになって過払い金請求をする方が増えた影響もあって、貸金業者が倒産してしまっていることもあります。借金が残っている状態で業者が倒産した場合は借金が消えるわけではなく、その業者の債権を引き継いだ別の業者に返済していくことになります。

それでは、過払い金請求が可能な借金がある場合は、どうなるのでしょうか。 また、過払い金請求ができる期限は、最後の取引から10年間と定められていますが、この間に業者が倒産してしまうこともあるでしょう。「過払い金請求手続きをしようかな?」と思っているうちに当の業者が倒産してしまった場合、一体過払い金はどうなるのでしょうか。
どんな大手企業であっても、ある日突然倒産してしまう場合があります。こういう時に慌てないためにも、過払い金と消費者金融の倒産について知っておきましょう。

貸金業者の倒産には複数のケースがあります

日頃、なにげなく使っている「倒産」という言葉ですが、これは具体的にはどのような状態を指すのでしょうか。
恐らく、業者の事業がうまくいかずに継続できなくなってしまったようなケースを思い浮かべる人が多いでしょう。実は、倒産にはいくつかの種類があるのです。

破産

個人が行う破産手続きと同様のもので、最も件数が多い倒産のタイプです。裁判所が選任した破産管財人によって、企業の財産を全て整理して債権者に分配し、事業そのものをゼロにします。中小企業で債務が膨れ上がり、事業が立ち行かなくなった場合に多く取られる方法です。
主に債務者自身(=破産する企業自体)が裁判所に申し立てをすることで手続きが行われます。

民事再生

事業自体は残したまま債務を整理する方法で、企業自体が主導権を持って再生を目指すものです。
企業が再生のためのプランを立て、一定の債権者の理解を得た上で裁判所に申し立てて認可を受けます。そのため、ある程度大規模な業者で、事業を続けることが債権者にとっても有利であると考えられる場合に選択されます。リーマン・ブラザーズの日本法人や、スカイマークなどが倒産した際に取られたのがこの方法です。

会社更生

株式会社が選択できる倒産方法です。民事再生とも似ていますが、会社更生の場合は裁判所が選任した更生管財人が企業の財産を管理し、再生を目指すという違いがあります。会社主体ではないため、より厳格に手続きが行われます。マイカルなどは、当初民事再生で手続きを進めていましたが、うまくいかずに後に会社更生に手続き方法を切り替えています。そのほか、日本航空もこの方法で倒産しています。

倒産した業者の債務はどうなってしまうのか

倒産した業者の債務がどうなるのかは、倒産方法によって差があります。
クレディアなどは民事再生を利用していますが、武富士は会社更生を利用し、クラヴィス(クオークローンやぷらっとなどを運営)は破産手続きを行っています。同じ消費者金融であっても、倒産方法は、各会社によって異なるのです。

破産

破産手続きを行うと、業者の財産が換金されて、債権者に対して重要度に応じた分配がなされます。重要度というのは、債権の優先順位や金額によるもので、税金や給与などが優先順位の高い債権とされています。

民事再生

今後、債務をどのように履行していくのかという計画が企業側から裁判所に提出されます。それが認められると、企業は事業を続け、計画通りに負債を返済していくことになります。この計画については、債権者の一定の理解が必要となります。

会社更生

会社更生では、裁判所が選任した更生管財人が企業の財産を管理することになります。銀行などが担保をつけている不動産についても同様で、こうした財産についても一切権利を行使することができなくなります。

過払い金はどうなる?

過払い金は、倒産した業者に対して請求者が持っている債権のうちのひとつです。しかし、請求しなければ、その業者の債権者であるという判断はなされません。つまり、請求していない過払い金は、債権として認められず、財産の分配金も受けられないということです。
業者が倒産した後、一定期間の間に過払い金請求を行わなかった場合、請求はできなくなってしまいます。もっとも、急いで請求をしたとしても、もらえるのは分配の範囲内での金額だけですから、全額が戻ってくることはほぼありません。かかる経費をカバーするだけのメリットがあるのかどうか、慎重に考える必要があります。

倒産した貸金業者が吸収合併され債権譲渡した場合

借金をしていた貸金業者が倒産し吸収合併された場合は、合併先に債権譲渡され過払い金の請求先が変わります。債権譲渡後に発生した過払い金は、合併先の貸金業者に請求します。債権譲渡される前の過払い金は、もともとお金を借りていた貸金業者にのみおこなうことができるので、合併先の貸金業者に請求はできません。
過払い金を請求することはできませんが、発生した過払い金を借金残高に充てることはできます。例えば、借金残高が100万円あるA社が倒産してB社に吸収合併され、のちにA社で10万円の過払い金が発生していた場合、A社からB社に債権譲渡した時点の借金残高100万円に10万円を充てることができます。

倒産した業者の事例

過去には、実際に倒産してしまった消費者金融も複数あります。これらのデータを見てみると、倒産時の過払い金請求でどのくらいの戻りが期待できるのかを知ることができます。

武富士

武富士は、会社更生手続きによって破産しました。
この更生手続き案で決められた過払い金に対する配当率(倒産した会社が抱える債務に対する支払い率を配当率と呼びます)は、たったの3.3%でした。 仮に100万円の過払い金が見込めるとしても、受け取れるのは33,000円ですから、手続き費用を考えると、請求するメリットはほぼないといえるでしょう。

クラヴィス

クオークローンやぷらっとのクラヴィスは、破産手続きを行っています。過払い金請求に対する配当率は、武富士よりもさらに低い1%未満でした。
破産手続きをした場合、会社の財産を債権者で分けることになります。しかし、もともと債務超過で事業継続が難しいために倒産するわけですから、換金できる資産はそれほど多くないでしょう。その上で各債権者への配当率が決められるため、破産による倒産の場合、過払い金の請求でメリットを得ることはほぼ絶望的なのです。

SFコーポレーション(旧三和ファイナンス)

2011年8月に破産手続きが開始されました。その後、2016年3月現在に至るまで、債権者会議が継続して開かれています。過払い金の配当率は1%前後になると見込まれています。 このように、破産手続き開始から債権者への配当までにかなりの時間を要するケースも稀ではありません。

業者はそんなに倒産するもの?

そうはいっても、倒産する金融機関は稀だと考える人もいるでしょう。ところが、金融庁が発表している「貸金業者数の推移等」のデータを見てみると、都道府県登録業者の業者数は年々減少しているのです。

  • 平成11年3月末 29,095社
  • 平成16年3月末 22,869社
  • 平成21年3月末 5,705社
  • 平成26年3月末 1,811社

このように、貸金業者は着々と数を減らしていっています。勝手に業者がなくなるわけではありませんから、それだけ多くの貸金業者が、倒産や廃業をしているということです。

過払い金請求には10年という期限がありますが、それだけでなく業者の倒産という、いつ起こるか分からない事態によるタイムリミットもあるということを覚えておきましょう。

貸金業者の倒産に関する過払い金請求は急ぐ必要あり

倒産しそうな貸金業者から過払い金が発生している借金があるかもしれないと感じている方は、早急に手続きすべきです。

基本的には貸金業者が倒産するまえに手続きするほうが大きなメリットが得られます。

現在お金を借りている場合、企業が倒産しても債務が消えることはありません。

しかし、過払い金の引き直し計算をすることで借金が減額できる可能性があります。企業の倒産後に過払い金請求をすることは、完済している方にとってはそれほどメリットの大きなことではありませんが、今現在も返済を続けている場合はメリットになるケースがあるのです。ただし、この場合も早期の対応が大切になってきますから、ひとりで悩まず、まずはお電話かメールにてご相談ください。

  • 弁護士法人きわみ事務所 代表弁護士
  • 増山晋哉

大学卒業後、大阪市内の法律事務所で経験を積み、独立開業。

きわみ事務所では全国から月3,500件以上の過払い・借金問題に関する相談をいただいております。過払い金請求に強い弁護士が累計7億円以上の過払い金返還実績を上げていますので、少しでもお困りのことがあれば無料相談をご利用ください。

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